KOSSのThePlugと言えば、カナルタイプ(耳栓のように耳の奥まで射し込むタイプ)の始祖のひとつである。
出音の傾向と言えば、何よりも「低音が凄まじい」ということに尽きる。
付属(※メーカーURLを参照)のネチョネチョした伸縮自在のスポンジと爆低音の相乗効果で長時間(短時間でも)聴いていると気持ち悪くなるほどである。

そのあまりにも出過ぎる低音に耐え難くなった方達がThePlugを改造し、webにその過程を掲載し、瞬く間に広がった。
具体的な改造方法では、付属のねちょスポに見切りを付け、代わりにキボシを付け、その先にソニー製のイヤーチップ「EP-EX1」を装着させるのが一般的である。The PLUG背面のダクトを塞ぐと音漏れも防げる。
元々EP-EX1はソニーのカナル型イヤフォン「EXシリーズ」のためのスペアーピースであるが、このデキが非常に良い。EXシリーズ自体は抜けの悪いドンシャリサウンドなのであまりオススメできないが、このシリコン製のイヤーチップだけは評価できる。

改造することによって低音が抑えられ、その分、高音の伸びが期待できるようになる。
キボシの他に真鍮管やアルミ管、スチール管を用いたりしても良い。
写真にある筆者のPlugは「固定用のキボシ＋スチールスペーサー＋EP-EX1」という構成である。

簡単な改造方法を紹介したが、低音が好きな方はもちろん素のまま使って頂いて構わない。
安価で改造することの楽しみがあるイヤフォンなのは間違いないが、「バランスの調整が難しい」ということを欠点として挙げる。
改造に用いる管ひとつ取っても、材質、長さ、太さ等の組み合わせが無限通りにあり、自分のベストマッチを見つけることはとても難しい。
そこが楽しいと言えば楽しいのだが、ThePlugの限界なのか、どうしても高域の繊細さに欠ける点を補うことが筆者にはできなかった。
女性ボーカルを良く聴く筆者にはこの点が致命的であった。