2013 年 12 月 26 日

[レビュー]ウルトラカラフルビーム




メーカー 株式会社プレイアベニュー
発売日 2013年12月14日
定価 5,775円
購入日 2013年12月17日
購入店 WAKWAKライブねっと
購入価格 4,980
ラインナップ 1種類のみ
プリセット16色 1.レッド、2.ブルー、3.グリーン、4.ピンク、
5.イエロー、6.ライトブルー、7.スカーレット、8.アクアブルー
9.オレンジ、10.コバルトグリーン、11.ローズピンク、12.ラベンダー、
13.ホワイト、14.ハナビ(グラデ)、15.エイトカラー(グラデ)、16.パープル
光源 フルカラーRGB LEDx1
電池 単四電池x3
光量切り替え あり(4段階)
リバース(逆送り)機能 あり(物理ダイヤル式)
先端処理 あり(シールド)
フリッカー、色分離 なし
連続点灯時間M
(メーカー公表値)
Eco:5~10時間
Low:ホワイト3時間、R,G,B9時間、その他3.5~6時間
Middle:ホワイト2時間、R,G,B5~6時間、その他2~3.5時間
High:ホワイト1時間、R,G,B3~4時間、その他1.5~3時間
全長 26.5cm
重量(電池・ストラップ含む) 135g
ストラップの有無 付属
配色のユーザーカスタマイズ あり
定電圧・定電流回路 なし
ロット情報 初期ロット:2013年12月~
公式サイト プレイアベニュー通販サイト


カラフルビーム愛好家の皆さん、お待たせしました。
(市販品では)元祖フルカラーペンライト「カラフルビーム」がウルトラに強まって帰ってきました。
初代カラフルビームの発売日は2012年4月なのでプレイアベニューとしては約1年8ヶ月ぶりの新製品となります。
初代カラフルビームは、
・全長が25cmを超えているので最近の25cm以下レギュレーションに対応できない
・色ムラがある(先端まで光らない)
・落とすと発光部と持ち手の結合部分が折れる
・ダイヤルが固い or 内部のツメが折れてユルユルになる
という欠点を抱えておりましたが、発売当時は「これしかない需要」でペンライト愛好家には売れていました。管理人も2012年6月に開催された「ゆるゆり 七森中♪うたがっせん」に投入しています。

しかし皆さんご存知のように初代カラフルビーム以降、高性能なフルカラーペンライトが続々と発売されました。ペンライト業界は日進月歩で新製品が投入されており、キンブレX10、カラフルサンダーに至っては後継機まで発売されています。
この結果、扱いづらい初代カラフルビームはお役御免となりつつあるのが現状です。
(※色の逆送りが物理ダイヤルで直感的にできるため根強いファンはいます)
この状況を打破すべくプレイアベニュー社が開発したのが本日取り上げる「ウルトラカラフルビーム」になります。

開発は難産だったようで、当初告知された発売日である8月上旬を4ヶ月遅延しての発売となっています。


他のペンライトにない主な特徴は以下のとおり。
1.ダイヤルでクイックな操作性!
2.4段階の調光でシーンを選ばない
3.フロントカラー・バックカラーを採用。使いたいカラーを瞬時に表現!
4.発光部に強靭で耐衝撃性に優れたポリカーボネイト使用
5.ハイパワーに対応!冷却モーターファン内蔵
6.将来性を考慮したメモリーカードスロット内蔵
7.定価は5,775円
冷却ファンが内蔵されたペンライトはこれが初です。
最近の高出力ペンライトではLEDの発熱を如何に処理するかが設計上重要な要素となっており、例えばターンオンでは「TurnON サンダーシリーズ 特許について」の説明で、


「振って使いながら空気流動による放熱&冷却 流体放熱構造」を採用していると謳っています。
ウルトラカラフルビームの冷却ファンの効果についてはレビュー後半で検証しました。


■パッケージ■


パッケージスキャン
大事なのは中身(ペンライト)なのでパッケージデザインは評価の対象としていないのですが、


キンブレIIシリーズやルミエースライトの洗練されたデザインに比べて垢抜けないのは否めません。
特に、


ウルトラカラフルビームをクロスさせる発想は素晴らしいです。



実用新案登録第3175039号を取得しているとのことです。



初代カラフルビームには付属していなかったストラップが付属するようになりました。
ただ、キンブレやサンダーのストラップに比べて輪が狭く手を通しにくいと感じました。

※テスト用電池は付属していないのでイベント当日の購入はご注意ください。

■外観■


左から初代カラフルビーム、ウルトラカラフルビーム、カラフルサンダー220(キラキラ)、キングブレードX10II(シャイニング)です。
全長は25cmを超えています
→初代カラフルビーム同様、25cm以下レギュレーションに引っかかります。
設計者は今の現場を知らないのでしょうか。さらに厳しい20cm以下というレギュレーションもあり、競合他社はそれらに合わせた長さのペンライトをラインナップしています。プレイアベニュー社のリサーチ不足と言わざるを得ません。

重量は電池ストラップ込みで135gと、スターセイバー極太よりも重量級です。
モーターの重さが足かせとなっているようです。



発光部は初代同様、取り外し不可です。
初代で「割れる、折れる」と指摘されていた強度ですが、メーカー発表では「発光部に強靭で耐衝撃性に優れたポリカーボネイト使用」と謳われており強化されているとのことです。
本来ならこの場を借りて落下テストをすべきですが、流石に1本5775円のペンライトを壊せるほど財務に余力がないため強度の評価については未実施とさせていただきます。 
(メーカー自身が耐久テストの結果を公開していただけると初代カラフルビームユーザーのトラウマが解けるのですが……)

続いて先端を見てみましょう。

初代には必要なかった先端処理が施されています。


ルミエース同様に反射率が高い先端です。個人的には反射率が高いと照明や周囲のペンライトを反射して結局まぶしくなり意味がないと思うのですがいかがでしょうか。



電池蓋は初代と同じく下にスライドさせる構造です。


ただし、通気口が無数にあるため汗が侵入しないか不安です。
電池を冷却させる構造なのでしょうが、ウルトラカラフルビームよりも大電流を流しているサンダーに電池冷却用の通気口がないことから本当に必要なのか疑問が残ります。

メモリーカードスロットを見てみましょう。


初期はダミーカードが入っています。サイズ的にはmicroSDに近いものですが独自カード以外受け付けない仕様です。
メーカーの説明では「将来性を考慮したメモリーカードスロット」とのことですが、果たしてどれほどのことができるのか明示して欲しいところですね。
性能競争により陳腐化の早いペンライトを延命するための手段とも見て取れますが、実際のところキンブレX10、カラサンを例に取れば後継機で進化したのは「持ち手のスリム化」「ボタンの増加」「レンズや筒の材質など光学特性の改善」など物理的な変化によるもので、マイコンのプログラムを書き換えたぐらいでは色のバランスを変えたり、特殊なグラデーションモードを追加したり、ブーストモードを追加するぐらいしかできません。全長が25cm以下に変化することはないのです。
あとはこのメモリーカードをいくらで提供するのか気になります。メール便で送ったとしてもカード原価、人件費を入れれば最低500円~1000円はかかるのではと思います。

■操作性■
基本的な操作方法をマニュアルから抜粋します。


Pスイッチ、Aスイッチ、Qダイヤルの組み合わせで動作を切り替えます。



■Pスイッチについて
半月状のPスイッチを押した瞬間に点灯します。
長押しは不要なのでイベントでも素早い対応ができるかと思います。
反面、スイッチが小さくやや押しづらい感もありますが恐らく誤作動防止のためだと推測します。
消灯させるにはPスイッチを2秒間長押しします。
点灯中にPスイッチを押すことで光量が4段階に変化します。マニュアルの表記では「エコ、ロー、ミドル、ハイ」の4段階ですが本レビュー記事は他ペンライトとの兼ね合いもありLV1~LV4で表記します。

■Qダイヤルについて
カラフルビームでお馴染みの色切り替えダイヤルです。
このダイヤルを回すことで色(フロントカラー)が変わります。
16まで色が割り振られておりますが14番、15番はグラデーションなので実質14色になります。
初代カラフルビームでは片手の親指だけで回せないほど固かったダイヤルですが、ウルトラカラフルビームは改善されて親指だけで余裕で回せるようになりました。
注意点として、光量のレベルはダイヤルを回すごとにLV1にリセットされます。

■Aスイッチについて
点灯中にAスイッチを押すと「バックカラー」と呼ばれるプリセット色に切り替わることができます。
フロントカラー(ダイヤルの番号)と、バックカラーの対応表は以下の通りです。


正直「一体何に使う機能なのか?」と困惑したのですが、カスタマイズ機能でユーザーが自由に色を設定できるとのことです。


これを応用すれば、「曲のサビで色を変える」「デュエット曲で歌手別に色を変える」といったことが可能になります。まぁペンライトを2本用意しておけばいいんですけどね。
※「こういった使い方もできるよ!」という方はぜひお知らせください。

もっと詳しい使い方については公式サイトに動画付きで載っていますのでそちらをご覧ください。

他、気になった点としては「プレイアベニュー製品に多い点滅機能がない」ことが挙げられます。
イルミライトにもスティックライトミニマルチにも初代カラフルビームにもあった点滅機能がついにやっと削除されたのは評価できます。
現場で点滅させられると気が散りますからね。

■発色■
まずは発光の色ムラを見ます。


上からキンブレX10II、ウルトラカラフルビームLV4、カラサン220です。
ウルトラカラフルビームは先端まで均一に光っていません。初代カラフルビームから進化していないとも言えます。
2013年の末に発売されるペンライト、それも最高額の逸品でこのムラは眉をひそめます。

続いて各色を見ていきます。
※ロット違い、LEDの個体差により写真と同じ色になるとは限りません。あくまで目安として参考にしてください
■レッド■


■ブルー■


■グリーン■


R,G,Bで際立ったところはありません。

■ピンク、ローズピンク■


初代カラフルビームのピンクは赤に寄っていて、実用上はローズピンクで代用している方が多かったと思います。
ウルトラカラフルビームのピンクは普通のフルカラーペンライトのピンク(比較写真には載せていませんがキンブレX10のピンクに近い)となりました。
逆にウルトラカラフルビームのピンクとローズピンクは差がわかりづらくなりました。

■イエロー■


ウルトラカラフルビームのイエローはLV1とLv4で色が異なります。
LV1は黄緑っぽいイエローで、LV4では赤の割合が増します。

■ウォーターブルー■


初代カラフルビームに無かった色です。他社のライトブルーと同系統の色です。

■スカーレット、オレンジ■


スカーレットは赤みの強いオレンジになります。

■アクアブルー、コバルトグリーン■


アクアブルーはカラサン220の同名色とほぼ同じです。
コバルトグリーンは初代カラフルビームはカラサン220のライトグリーンに近い色でしたが、ウルトラカラフルビームではキンブレX10IIのターコイズに近い色になりました。

■ラベンダー、パープル■


ラベンダーは初代カラフルビームに無かった色です。色としてはキンブレX10IIのパープルに近い色となります。
パープルはカラサン220パープル、キンブレX10IIバイオレットの中間のような色です。

■ホワイト■


素直に白色LEDな単色ペンライトを買いましょう。

■照度・消費電流■
※ロット違い、LEDの個体差により同じ電流値、照度になるとは限りません。あくまで目安として参考にしてください
安定化電源を4.5Vに設定した場合の消費電流値、照度を測定しました。
どの色が電池を消耗するかの目安にしてください。
照度の測定方法は「コンサート用ペンライトの照度比較」ページに準拠しています。

消費電流[mA]
ウルトラカラフルビーム カラフルビーム カラサン220 キンブレX10II
LV1 LV2 LV3 LV4 LOW HIGH
1.レッド 50 80 140 190 50 130 210 150
2.ブルー 50 80 150 190 50 140 220 170
3.グリーン 50 80 150 200 50 150 240 160
4.ピンク 60 100 170 230 60 150 240 210
5.イエロー 90 150 280 380 100 220 350 260
6.ライトブルー 90 160 280 390   180 290 270
7.スカーレット 60 90 160 220 60      
8.アクアブルー 70 120 220 300 100      
9.オレンジ 60 110 180 250 70 150 240 170
10.コバルトグリーン 60 90 160 220 50      
11.ローズピンク 60 100 180 240 70      
12.ラベンダー 60 110 180 240        
13.ホワイト 90 160 290 390 140 300 520 290
16.パープル 90 160 280 380 100 200 320 230
10cm照度[Lx]
ウルトラカラフルビーム カラフルビーム カラサン220
キラキラ
キンブレX10II
LV1 LV2 LV3 LV4 LOW HIGH スモーク シャイニング
1.レッド 22 42 77 109 23 74 126 107 138
2.ブルー 45 82 147 191 28 163 273 275 337
3.グリーン 44 75 120 152 35 149 239 180 242
4.ピンク 32 60 107 145 26 95 159 188 237
5.イエロー 66 119 198 256 54 191 317 226 299
6.ライトブルー 91 160 269 345   221 370 351 439
7.スカーレット 28 52 93 127 26        
8.アクアブルー 69 119 196 250 59        
9.オレンジ 37 66 115 154 31 98 162 125 166
10.コバルトグリーン 51 86 140 178 38        
11.ローズピンク 36 66 118 160 30        
12.ラベンダー 55 99 172 228          
13.ホワイト 80 142 242 314 67 327 551 339 428
16.パープル 72 129 226 296 46 166 278 287 352
ウルトラカラフルビームのLV1は初代カラフルビームと同等です。(意図的に同じ明るさにしているようです)
あとは光量が4段階も必要なのかという根本的な疑問もあります。キンブレMAXの4段階に倣っているのでしょうが、「キンブレ自体も4段階必要なのか?サンダー同様3段階で十分なのでは?」と最近考えるようになりました。小刻み過ぎて現在の明るさが何LVなのかわかりづらいことがあるのです。
ウルトラカラフルビームならLV1、LV3、LV5(追加)の3段階の方が扱いやすいのではと提言します。

■冷却モーターファンについて■
LEDは温度上昇によって順方向電圧(Vf)の低下、ジャンクション温度の上昇、発光効率の低下を招き、全く良いことがありません。長期的には光束維持率(寿命)の低下にも繋がります。
そのためパワーLEDを採用している昨今のペンライトではほぼ100%ヒートシンクで放熱処理をしています。
しかし実際のところ、内蔵されているヒートシンクだけでは冷却が追いつかないほど大出力化しているペンライトがあるのも事実です。(例:初代サンダーのLV3)
この問題は単色ペンライトならば常時最大輝度、フルカラーペンライトならばホワイトやライトブルーなど消費電力高めの色を常時点灯でもしない限り表面化しないのであまり気付かれていないのですが照度の数値は確実に低下しています。
そこで、これを良しとしなかったプレイアベニューは冷却ファンの搭載に踏み切りました。
以下の動画を御覧ください。ファンの動作音もわかります。

モーターが回っているわけですから無音というわけにはいきませんが、MC中でなければ気にならない音だと思います。可変速ではないようです。
ファンが回り始める正確な温度は不明ですが、簡易的に検証したところ通気口の表面温度が36℃を超えたあたりから回転しました。(内部はさらに高温になっているはずです)

どれほど効果的に冷却できているか検証するため、ウルトラカラフルビームとキンブレX10IIをそれぞれ安定化電源4.5Vに接続した場合の照度変化を観測しました。
経過時間 10cm照度[Lx](色:ホワイト 室温:約22℃)
ウルトラカラフルビームLV4 キンブレX10II
0分 309 426
2分 300 424
4分 293 417
5分 290(ここからファン始動) 415
6分 295 414
8分 297 412
10分 298 410
キンブレX10IIの方は照度が次第に低下しているのに対し、ウルトラカラフルビームはファンが回転し始めた5分あたりから持ち直しているのがわかります。
よって冷却ファンが正常に機能していると言えます。
さすがに点灯直後の照度にまでは戻りませんが、良質な電源があった場合の長期安定動作は期待できます。


マニュアルによれば自動的に輝度を下げる「オートパワーダウン」、強制停止させる「ハザード(機器回避)」機能も備わっているとのことですが、冬場の室温では再現できませんでした。
夏場の日中や熱いライブ会場などで試してみたいところです。

■分解■
※分解及び改造行為を行ったペンライトは安全性が保証できないためライブ会場に持ち込まないでください。


第一印象は「実装密度が高くて金のかかっていそうな基板だなぁ……」でした。
これ以上非破壊な分解ができなかったので写真には載せていませんが、裏側にもモータやモータ用電源生成部などが実装されています。



LEDはなんと拡散キャップ付き。パワーLEDを使ったペンライトで拡散キャップが付いていたものは無かったはずです。



リフレクターはペンライトでは珍しいオレンジピールでした。



筒は肉厚でこれだけで38.1gもありました。



ヒートシンクの下にあるのが冷却ファンとモーターです。



ヒートシンクはキンブレMAXの約半分のサイズでした。「ファンで冷却するから巨大なヒートシンクは不要」という方針なのかも知れませんが、キンブレのヒートシンクでファンが付いていればさらに冷却できたのでは?と考えるのは素人でしょうか?
(ファンが回らないに越したことはない)

■まとめ■
■良い点
・色の切り替えが直感的
・ダイヤルが回しやすくなった
・冷却ファンのおかげで長時間安定動作

■一長一短
・冷却ファンの動作音と重さ

■悪い点
・価格が高すぎる
・25cmを超える全長(使用不可な現場が多い)
・色ムラは改善されず

●評価未実施
・耐久性(発光部の強度)
・メモリーカードでの機能拡張
厳しい言い方をしますと「どういった層に使って欲しいのか不明なペンライト」です。
ある程度現場がわかっている層ならば「25cm以上のペンライトは使い勝手が悪いこと」「ペンライトはいつかは壊れる消耗品であること」を知っていますし、初心者ならばキンブレX10、カラサンの2倍以上の価格には手を出さないでしょう。
他のペンライトにはない冷却ファンとメモリーカードに魅力を感じたペンライトマニアや、普及し過ぎた他社製品よりもマイナーなペンライトを使いたい新しもの好きぐらいにしか売れないのではと懸念しています。
多少高くとも欠点がないペンライトであるならば、キンブレX10、カラサンの完全上位機種として皆さんにオススメできるのですが、現状のクオリティでは「買う前によく考えてください」としか言えません。

Filed under: ペンライトレビュー — monta @ 23:37

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