NHKのtwitterのヨイショ具合には恐怖を感じる
たまにはまともな私論でも。はてなダイアリーとかに書いてあるようなやつ。
何気なく見たNHKのニュースウォッチ9にて、気仙沼市の危機管理課の人が「Twitterで避難情報を発信して住民の命を救いました」と答えていて、かなりTwitterをプッシュしている構成に見えました。
役場に残って情報を発信し続けたこの方の勇気ある行動は称賛されるものですが、今はそこは置いておくとしてもっと本質的な部分、ある意味タブーである部分、つまるところ「Twitterで人の命が救えたのか」という点を考えてみたいと思います。
まず状況を整理すると
・3月11日の地震発生後、停電で防災用の放送設備が使えない
・唯一使えた通信手段は携帯電話のみ(高台に蓄電装置付きの基地局があった)
・そこでtwitterのアカウント(@bosai_kesennuma)を利用して「すぐに高台へ避難してください」といったツイートを発信
これらのツイートは今でも見ることができます。
地震発生当時の緊迫した空気がそこには保存されていて、震災後に「歴史的資料」として振り返るには最適です。(不謹慎ですか?でも災害を後から冷静に研究するのは大事です)
ですが一番肝心の気仙沼市の人々が、当時これらのツイートを見ることができていたかと言うと私はそんな余裕はなかったと思いますよ。
そもそも前提として
1. 携帯電話でインターネットができることを知っている
2. Twitterの存在を知っている
3. 気仙沼市の危機管理課のアカウントを知っている
この3つのハードルを乗り越えていなければなりません。
高齢社会においてデジタル機器を使いこなせる人の割合は決して多くありません。
仮に2.までのハードルを乗り越えていたとして、果たしてあれだけの地震のあとに冷静にTwitterを見に行こうとするでしょうか?
「市の危機管理課が何か情報を出しているかも!」という期待値だけで、極めて貴重な時間を消費して情報を確認しようとするでしょうか?
「もしTwitterにアクセスしてそこに情報がなかったら?その数十秒~数分のロスで津波から逃げきることができなかったら?」というデメリットの方が遥かに大きいです。
私だったらその時間を使って家族の安否を確認しつつ逃げようと思いますよ。
というわけでTwitterでの避難情報が本当に効果的だったのかは定かではないですが(担当の方からしてみれば、一人でも多くの命を救ったと思うしかない)、少なくともメディアで「災害時にはTwitterは有用」と流すのはいささか乱暴すぎだと思います。
被害が少ない都内では有用でしたが、本当の大災害時には「情報を自分から取りに行く」というプル型な行為をしている余裕なんてあるわけがなかったのです。
この気仙沼から本当に得るべき教訓は「高台に備蓄設備付きの特大のスピーカーを付けて、役場と二重三重の専用線を引け」ということでしょうか。
以上です。
今までネットを目の敵にしていたTVが手のひらを返したかのようにTwitterを宣伝し始めたのが鼻についてしまったので。