2012 年 8 月 19 日

27インチWQHD液晶「ユニットコム UNI-LCD27/WQHD」レビュー(W241DGとの比較)


[最終更新:2012.11.24 PM21:45]



【PC Watch】 ユニットコム、39,980円のWQHD対応27型IPS液晶ディスプレイ


こんにちは、グレア厨のmontaです。



ついにWQHD(2560×1440)デビューをしました。1280×720の2倍ですよ(;´Д`)ハァハァ

まずは購入に至った背景を手短に。
今までmontaは、


ヒュンダイの24インチIPS WUXGA(1920×1200)液晶「W241DG」を2台メインに使っていました。(W241DGは2009年に2万6980円で購入)
写真では左端にDELLのU2311Hが縦置き、右端に東芝のREGZA 37Z1があるため中央のW241DGは相対的に小さく感じますね。実際は24インチのデュアルなので結構巨大です。

W241DGはWUXGA(1920×1200)でグレア(光沢液晶)、1677万色表示可能、そして安いとあって一部の人間に大変好評でした。
特にグレアはノングレア特有のギラツブ(ツブツブの粒子が見える)とは無縁なので、クッキリとしたテキスト表示や黒の締まった画像表示が好きな人種には必須です。(Apple製品にグレアが多いのもそういった理由ですね)
メーカーが韓国ヒュンダイで気に入らないですが、バックライト含めて3年保証もあったので壊れた場合も心配いらないという妙な安心感もありました。ちなみにmontaは3年以上酷使しましたがまだ壊れていません。
W241DGが安く作れた背景には、LGがAppleの24インチiMacのためにパネルを大量に作ったものの採用されなかったという事情があります。
大量に余ったパネルをヒュンダイが格安で買い付けて、W241DGが出来たというわけなのですね
実際にiMacに採用されたパネルとは兄弟関係にあってそこまで品質は違いはないので経済的弱者なユーザーとしては嬉しい製品でしたね。
さて、そんなホクホク顔なW241DGユーザーにも困ったことがありました。

それは『後継製品が出ない』ということです。

液晶モニタはバックライトの寿命からいつかは買い換えないといけないのですが、困ったことに乗り換え先の製品が存在しないのです。
多くのW241DGユーザーは「IPSでWUXGA(1920×1200)以上かつグレア(光沢)」であることが絶対条件ですがグレアモデルがないのです。
現在市場に流通しているWUXGA液晶はノングレアモデルしかありませんし、三菱のグレアモデルはフルHD(1920×1080)止まりなので選択肢としては厳しい状況でした。

しかしここ最近、WUXGAを超える高解像度液晶に新しい風が吹き始めました。
いずれの機種も27インチWQHD(2560×1440)、LEDバックライトという点は共通です。

まず1つ目は今年1月に発売された「サムスンのS27A850D」です。
S27A850DはTN、VA、IPSに続く新しいパネルとしてPLSパネルを採用したモデルで視野角もIPS並に広く、かつ、ハーフグレア的な質感でギラツブもないとあって注目の的でした。
ただし、現在価格は56,406円なのでW241DGx2台分となってしまうのがネックと言えます。

2つ目は先日発売されたばかりの「DELLのU2713HM」です。
U2713HMの前に「U2711」というモデルがあったのですが(今後も併売?)、ノングレアのU2711はギラツブが酷くてW241DGユーザーなら使えない代物でした。
U2713HMはパネルをH-IPSから開口率が高い最新のAH-IPSにしたことでU2711からギラツブ感がかなり減少しています。
直販価格は49,800とあって、今後のDELLクーポンを考慮すれば4万円台前半で買えそうな雰囲気なのが大変イイですね。
ただし、色数が1670万色(6bit駆動+FRC?)となっているのが気になります。

そして3つ目が「ユニットコムのUNI-LCD27/WQHD」です。
定価39,800円というこれまでのWQHD液晶では考えらない価格がインパクト大です。
そしてグレアモデルであるということ――全W241DGユーザーがごくりと生唾を飲み込んだと聞いております。
色数もU2713Hと違って1677万色(8bit駆動)あり、これを買わないという選択肢はなかったのです。

この時期にユニットコムがグレアのWQHD液晶を安く出せた理由は、「AppleのLED Cinema Displayのパネルが余ったから」としか考えられません。
LED Cinema Displayも27インチWQHDでグレアですからスペック的には同等です。
恐らくAppleは次期Cinema Displayでさらなる高解像度化を図り、iPhone、iPad、ノート、デスクトップ(Cinema Display)までRetinaを推し進めるのでしょう。
Appleの液晶高解像度化に貢献する姿勢は応援したくなります。実際Appleが通った後に新しい市場が拓けていますしね。

さて前置きが長くなりましたが本題のレビューに入ります。
■基本性能■
まずは公開されているスペックです。



種別 27インチ WIDE
最大解像度 2560×1440
アスペクト比 16:9
応答速度 Tr:6.5ms ,Tf:7.5ms
入力端子 D-sub×1、DVI×1、HDMI×1、DisplayPort×1
スピーカー 2W+2W
パネル方式 IPS(グレア)
バックライト LED(エッジライト)
輝度 350cd/m2
コントラスト比 1000:1 ,DC:80000:1
表示色 約1677万色
視野角(上下/左右) 178゜/178゜
音声入力 3.5mmステレオミニジャック
VESA対応 100×100mm
標準消費電力 49W(スタンバイ時1.2W:最大消費電力100W)
付属品 Dual-Link DVIケーブル ,D-Subケーブル ,オーディオケーブル ,日本語マニュアル ,ACアダプター ,3pin→2pin変換アダプター
寸法については記載がなかったので測りました。


特に重要なのは接地面から表示領域下端までの距離9.5cmですね。
この液晶の足には高さ調節機能がないので、この距離が気に入らない場合アームを使うしかありません。

重さについても記載がなかったので測りました。
梱包重量 10.8kg
液晶本体重量 7.6kg
ACアダプター重量 0.6kg


箱に持ち手はありますが、10.8kgありますので店舗から持ち帰る際は頑張ってください。



同梱物はDual-Link DVIケーブル、D-Subケーブル、オーディオケーブル、日本語マニュアル、ACアダプター、3pin→2pin変換アダプターです。


2560×1440で映すにはDual-Linkに対応したDVI出力を持つビデオカードか、DisplayPort接続が必須なのでご注意ください。
HDMIでは1920×1200止まりです。
■追記:2012-11-24


HDMIでも2560×1440でリンクできることが判明しました。
現在確認されているビデオカードは、
・Radeon HD 5770(Sapphire製HD5770 1G GDDR5 PCI-E 11163-02-20R)
・ELSA製 GeForce GTX 680 4GB
です。
HD5770は仕様では最大解像度1920×1200となっていますが、何故か2560×1440で表示できます。


電源は内蔵ではなく外付けACアダプター方式(24V 6A)です。
ACアダプター方式にはメリット、デメリットがあります。
■メリット
・電源回路の発熱が液晶パネルに伝わらない
・電源回路が壊れた場合にACアダプターを交換するだけで済む

■デメリット
・モニタ周りにケーブルが増えてしまう
大型液晶の場合、消費電力の大きさ故に電源回路の発熱が高いためACアダプター方式の方が個人的には好きですね。
特に今まで使っていたW241DGが爆熱だったので少しでも熱源をモニタから遠ざけたいのですw



背面はザラザラした人工皮革。



入出力端子は背面左側に集中しています。
右側には空きパターンだけあります。



台座(足)は低機能で、傾斜調整と左右の首回転だけしかできません。
高さ調節もピボット(縦回転)もできませんので、それらの機能を使いたい場合は別途アームを買うか、他の多機能な足を接続するなどしてください。



モニタ前面のスイッチはボタン式
個体差なのか仕様なのかわかりませんが、montaのAUTOボタンは押し込んだ後の戻りが弱くてめり込んだままになってしまうことがありました。この辺りはコストダウンのシワ寄せと割り切るしかないのでしょうか。



電源ON時のパイロットLEDはかなり明るいため、テープを貼るなど何か被せた方が良いと思われます。
OSD一覧


OSDからの設定では必要最低限のことしかできません。
・輝度調整
・コントラスト調整
・RGB値調整
・色温度プリセッ変更ト(NORMAL、COOL、WARM、USER)
・入力信号が4:3だった場合の表示の仕方(ワイドかアスペクト比保持)

色温度はNORMALだと若干青っぽいので暫定的にWARMにして使っています。
ゆくゆくはRGB値を調整して隣のW241DGと色を合わせる予定です。

重要事項として
・ドットバイドット表示モードなし(画面全体に拡大される) ・HDMIはRGB色空間のみ対応、I/P変換はショボイ という欠点があります。



上記の画像はBDプレーヤーを720pでHDMI接続したものです。
画面全体に拡大されます。PS3でも恐らく同様です。



1080iと1080pでそれぞれ出力した場合、1080iでは画面全体がブレます。まともなi/p変換は期待しない方が良いでしょう。
それとHDMI接続時はエンベデッドオーディオもスピーカーから再生されますが、スピーカーの音質はホントに鳴っているだけのレベルでとても鑑賞には耐えられません。篭った音です。




PCからは「ME2728L11」というモデル名で認識されます。AKIBA PC Hotline!の記事だとTBDになっているのが気になるところです。
デモ機の段階ではモデル名は未定(To Be Determined)だったということでしょうか。

■発色■


バックライトの発光ムラ



発色は正面から見る分には綺麗です。
しかし、斜めから見ると


白浮き(バックライトの光漏れ)が気になります。少なくともW241DGを使っている時には白浮きは気になりませんでした。
後は明るさですが輝度0でも人によっては明るすぎると感じるレベルです。
montaは輝度0で何とか常用してみます。



グレア(光沢)液晶だからって枠まで光沢にする必要はないのに、無駄にテカっているせいでご覧のように表示領域下端の斜めのエッジに照明が反射してしまっています。
何かテーピングしておきます。


■W241DGとのサイズ比較■
さて、ここからは乗り換えを検討しているユーザーが多いと思われるW241DGとの比較をしていきます。
まずはサイズです。


左がUNI-LCD27/WQHD、右がW241DGです。
24インチから27インチへの置き換えなのでどれだけ大きくなるかと思いましたが、意外に高さは同じでした。むしろW241DGの方が背が高いです。
W241DGは16:10、UNI-LCD27/WQHDは16:9という違いもありますが、W241DGは表示領域以外がデカすぎるという弱点があるのですね。



本体の厚みもこれだけ違います。
W241DGは電源回路を内蔵かつバックライトがCCFL
UNI-LCD27/WQHDはACアダプターかつバックライトがLED
という違いだけでここまで差がでるものですかね。



UNI-LCD27/WQHDのRGBドット形状



W241DGのRGBドット形状
ドットの形状からどこのパネルかわかる人もいるそうですが、montaはそこまで詳しくありません。
どちらもグレアパネルなのでドットの粒が綺麗に判別できますね、程度にしか言えません。



ドットピッチ比較。
左が0.23mm(27インチ2560×1400)、右が0.27mm(24インチ 1920×1200)
ハッキリ言って、文字が小さすぎます
他メーカーの27インチWQHDモニタすべてに当てはまることですが、広大な作業領域と引き換えに失ったものは文字の読みやすさでした。
96dpiで使うには視力が重要です。

■W241DGとの発熱を比較■
■条件
・室温29℃
・モニタに白画像を全画面表示で2時間放置
・輝度は50

まずはモニタ表面温度(中央を測定)


UNI-LCD27/WQHDは36.5℃、W241DGは42.1℃

次に背面の通気口で最も高い温度を測定


UNI-LCD27/WQHDは44.6℃、W241DGは54.0℃
W241DGが爆熱と言われる所以です。



ACアダプターは46.7℃でした。
発熱に関してはW241DGから大きく改善されました。

■W241DGとの消費電力を比較■
消費電力(ワット)を測定するために、


サンワサプライのワットモニターを使用しています。
コントラストは輝度0と100時を除いて50固定、表示画像は白(R255,G255,B255)を全画面です。
※W241DGは3年間酷使したものを使用しています。
輝度 UNI-LCD27/WQHD W241DG
スリープ 0.9 1.0
0(コントラスト0) 49.0 55.6
0(コントラスト50) 51.2 56.4
0(コントラスト100) 52.5 57.6
10 54.4 57.6
20 57.5 58.9
30 60.3 60.5
40 64.6 62.3
50 70.1 64.5
60 75.0 66.7
70 79.5 69.7
80 83.4 73.2
90 87.2 78.6
100(コントラスト0) 88.7 81.5
100(コントラスト50) 90.2 82.8
100(コントラスト100) 91.9 83.5
この結果からわかるのはLEDバックライトだからと言って必ずしもCCFLより低消費電力ではないということですね。
輝度40以降からCCFLのW241DGの方が消費電力が少ないです。
ただ、気になるのがフェイスの通販ページに書かれている、
標準 49W (一般平均輝度 40~60)
輝度 0 (最低) 時: 20 W
輝度 50 時: 43 W
輝度 60 時: 55 W
輝度 100 時: 98 W

※ 当社での検証結果値に基づきます。
上記の値とだいぶ異なる点ですね。特に輝度0時の20Wはどうやって実現しているのか気になります。
フェイスの検証環境がわからないのでどうとも言えませんが、仮に白画像ではなく黒画像(R0,G0,B0)を全画面表示した場合でも6W程度下がるだけでとても20W台はおろか30W台にもなりませんでした。
また、あやふやな記憶で申し訳ありませんがパソコン工房店頭にあったデモ機は輝度0だとかなり画面を暗くできました。
店舗照明を考慮しても、手元にあるこのモニタの輝度0は暗いとは感じません。
デモ機(試作版)と製品版で大きく仕様が異なっている可能性が高いです。

■まとめ■
現段階では使用時間が少ないため、評価を結論づけることはできません。
とりあえず、ドットピッチが許容できてグレア好きでPCモニタ専用として割り切るなら買って損はなさそうだと言えます。

何か気になる点がありましたらコメント欄からお気軽にお尋ねください。
Filed under: PC,日記 — monta @ 14:47