2013 年 5 月 9 日

[レビュー]無線制御式ペンライト FreFlow(フリフラ)


[最終更新:2013.05.10 AM00:05]



販売元 株式会社ソニー・ミュージックコミュニケーションズ
製造元 ソニーエンジニアリング株式会社
発売日 一般発売未定
定価 イベント価格2,500円
購入日 2013年03月17日
購入店 「堀江由衣をめぐる冒険IV~パイレーツ・オブ・ユイ 3013~」物販
購入価格 2,500円
ペンライト色 スタンダード構成:青、赤、緑、白、オレンジ、紫、ピンク、黄色
光源 砲弾型フルカラーRGB LEDx1
電池 単四x2(昇圧回路有り)
光量切り替え なし
連続点灯時間 青10~12時間、白4時間
全長 29cm
重量 69.6g(電池含む)
ストラップの有無 なし


これまでにない特徴を持ったペンライトが登場しました。
まずはMusicman-NETに掲載された以下のインタビュー記事を御覧ください。

新ペンライトシステム 「FreFlow(フリフラ)」開発秘話


【フリフラの特徴】
無線制御により主催者側が自由にペンライトの色と点消灯を制御可能なペンライト


■無線制御■
・通信プロトコルは舞台照明制御の汎用規格であるDMX512を採用
 (無線部の変調方式は不明)
・切り替えに要する時間はほぼ一瞬(遅延が極めて少ない)
・到達距離は遮蔽物がない場合半径400m、実用では半径200m
・電波の範囲内であれば無制限のフリフラを同時に制御可能
・無線制御がない場合は通常のペンライトと使用可能
・送信機は会場設置タイプの他に、ペンライト型もある


ペンライト型の送信機を出演者に持たせることでライブ演出の幅が広がります。

■色の切替■
・フリフラにIDを割り振ることで、特定のIDを持つフリフラのみの色を変更することも可能
 (座席ブロックごとにIDを固定したフリフラを配布することでウェーブのような効果をだせる)
・色はスタンダード構成で青、赤、緑、白、オレンジ、紫、ピンク、黄色の8色をプリセット、
 最大で15色までプリセット可能(要:マイコン書き換え)
・明るさの明暗も制御できるためフェード効果、点滅効果も自由自在

■電池■
・単四x2本を昇圧しているため、一定の明るさを長時間維持しやすい

■開発製造元■
・ソニーエンジニアリング株式会社(MADE IN JAPAN)
アニソン現場におけるペンライトの色とは、キャリアが長い歌手であってもなかなか統一できないものです。
極端な例ですが新曲のお披露目で、

A「これは静かなバラード調だから青でいこう」(曲調カラー派)
B「曲名、歌詞、タイアップ作品を考慮すれば白のはずだ」(曲イメージ色派)
C「実は直前のラジオで黄色を振ってほしいって言っていたよ」(公式指定色派)
D「迷ったら基本色のピンクで対応するべきだ」(基本色派≒公式ペンライト派)

という状況になった場合、会場には青、白、黄、ピンクの4色+αが混在することになります。
どれもが間違いではないのですが、全体の光景は斑模様でキレイではありません。
初出しの新曲なら仕方ないにせよ、ある程度こなれた曲であるならファン達の自主性で1色に揃えられるのが理想的です。
しかし、色を選択する優先順位が人によって異なるためそう上手くは行かないのが実情です。
それこそ歌手自身が普段から○○色が大好きと公言していたり、古参を含めた周りのファンが○○色しか認めない雰囲気でもない限り1色に揃えるのは無理な話なのです。
※余談ですがmontaが色を選択する優先順位は「公式指定色>曲イメージ色>基本色>曲調カラー」の順です。判断に自信がないと右にズレていきます。

このような色が揃わないもどかしい状況を打破する一つの回答が、主催者側から無線制御が可能なフリフラです。
フリフラとはソニー・ミュージックエンタテインメント傘下でイベントの企画運営を行う「ソニー・ミュージックコミュニケーションズ」と、ソニーの民生機器、放送機器の開発設計を行う「ソニーエンジニアリング」が共同で開発した無線制御ペンライトです。
小型電子機器を作らせたら右に出る者は(ほぼ)いないソニーが初めて作ったペンライトということでクオリティにも期待が集まっています。
昨年から紅白歌合戦など一部のイベントで試験的に使用されてきましたが、3月に開催された堀江由衣さん(17歳)のコンサートで初めて一般販売されました。




型番はパッケージにFFS-R2(4)と書いてあります。



マニュアルスキャン(2825×1412)
日本製であることが明記されています。

■外観■

全長は29cmで、25cmレギュレーションを超えています。
発光部14.5cm、持ち手14.5cmで1:1になるのは珍しいですね。
持ち手が長いのは単四x2本を直列にしているのと、基板上に実装部品が多いためです。



発光部の直径は19mmしかなく、フルカラータイプでは現在もっとも細みです。



重量は69.6g(電池込み)、持ち手が57.5g、発光部の筒が12.1gとなっています。
電池が単四x2本なのが軽量化に貢献していますね。



電池フタはツメで留まっているだけなので簡単に開閉できます。



電池ボックスの下にはシリアルナンバーだと思われるバーコード1R10000905が貼ってありました。
ついにペンライトもエレクトロニクス機器のようにシリアルでロット管理されるようになったとは感慨深いです。
キンブレやサンダーにもシリアルが振ってあれば容易にロットが判別できるので当blogとしては便利なんですけどね^^;



通気口のようにも見える10個並んだ穴はマイコン書き込み端子です。本体を分解することなくマイコンプログラムの書き換えが可能なはずです。
例えばとあるイベントで特定の色のみをプリセットしたフリフラを配布する場合、運営側がこの端子を利用して事前に書き換えを行います。
ただ、ほっちゃんグッズのようにユーザー買い切りタイプのフリフラを後から回収して一々書き換えるなんて手間がかかることをするとは思えないため、この端子がユーザーの前で実際に利用されることはないと思います。(無線制御下ではプリセット色以外の色であっても自在に調光できるため、マイコンを書き換える必要はありません)



底面にあるクリアパーツ(FreFlowロゴあり)はクルクル回りますが回路上どこにも接続されていません。
ストラップホールのためだけにあるようです。



乳白色の筒は取り外し可能です。



なんか可愛いレンズ。



先端処理はありませんが、必要ない明るさなので問題ありません。

なお、フリフラにはピンク以外の持ち手や乳白色以外のクリア筒もあるようです。


上の写真では透明感のあるキレイな発色しているのでコチラを販売して欲しかったですね。

■操作性■


電源のON-OFFはスライドスイッチ、色切り替えはボタンスイッチで行います。
ONにしてから点灯するまで約2秒かかるのが難点です。この2秒の間にフリフラは電池電圧のチェックを行なっているようです(詳しくは後述)

使用できる色は、


青、赤、緑、白、オレンジ、紫、ピンク、黄色の8色です。(スタンダード構成)
キンブレX10、カラフルサンダーと同様に順送りしかできないが残念ですね。
さらに色記憶機能もありません。電源ON時は必ず青から始まります。
無線制御下以外で使用するには使い勝手が悪いと言えます。

■発色■
まずは色ムラをチェックします。


根元と先端が明るくなる典型的なタイプです。絶対的な光量が足りていません。
上記の写真よりもシャッタースピードをもう少し落とせば、


そこそこキレイに写ります。
なお、フリッカー(色分離)はありません。これが当然なのですが……(ルミエースカラーチェンジを横目で見ながら)

続いてフルカラーペンライトで鬼門とされる白色を比較。


七色棒FK301に次いで白に近い発色になっています。
白色LED採用ペンライトの変わりとして十分使用可能です。純白サンクチュアリィやFuture Streamが紫がかっていいわけがないのです。
他の色の比較をしていきます。。
比較対象は左からカラフルサンダー110(ホワイト)、フリフラ、キングブレードX10です。
■ブルー■



■レッド■



■グリーン■



■オレンジ■



■パープル■



■ピンク■


フリフラのピンクはカラサンのピーチ色に近い優しいピンク色です。


■イエロー■



乳白色の筒を使用したペンライトの場合、発色がマイルドになる傾向です。
特にフリフラの場合は光量が足りないため、発光部の上半分はLEDの色よりも筒の白色が勝っている状態です。
最近の高輝度でキラキラしたペンライトに慣れてしまうとフリフラの柔らかい発色が逆に新鮮かも知れません。比較対象に入っていませんがカラフルビームと似た印象です。

■照度・消費電流■


いつも照度は発光部の中間点から真下へ10cmの位置で計測するのですが、フリフラの場合は根元付近から真下へ10cmの値も計測しています。
安定化電源3.0V時の値になります。
中間(lx) 根元付近(lx)
ブルー 11 15
レッド 5 8
グリーン 10 13
ホワイト 24 33
オレンジ 6 9
パープル 13 18
ピンク 7 11
イエロー 12 17
現在主流のペンライトに比べて暗いのは否めません。
一昔前はこの程度の明るさで必要十分でしたが、今の現場は客席が明るすぎるため他のペンライトにフリフラが埋もれてしまうでしょう。
実際の運用ではフリフラのみだけを使用できるようにし(事前に配布する)、他の市販ペンライトは使用禁止にでもしないと際立ちません。

各色ごとの消費電流値も測りました。何かの参考にしてください。(電源電圧3.0V)
mA
ブルー 70
レッド 70
グリーン 70
ホワイト 120
オレンジ 70
パープル 80
ピンク 70
イエロー 80
フリフラには昇圧回路(DC-DCコンバータ)が搭載されているので電源電圧を下げた場合に電流値がどう変化するか検証しました。(青色で計測)
今は亡きオキシライド乾電池の初期電圧1.7Vx2を想定した3.4Vからスタートしています。
電源電圧[V] 消費電流[mA]
3.40 60
3.20 60
3.00 70
2.77 80
2.46 90
2.21 100
2.02 110
1.85 120
1.71 130
1.60 140
1.51 140
1.50 消灯
常に一定の出力になるよう電流値が反比例して要求されます。
この間、常に照度は一定でした。

なお、電源電圧の値によってフリフラ起動時の挙動が変化します。
電源電圧 ~1.50V 1.51V~1.80V 1.81V~2.20V 2.21V~
起動可否 起動不可 起動不可 赤色点滅 通常起動
ONの状態から
消耗した場合
消灯 点灯
電源電圧が1.81V~2.20Vの間で起動すると赤色に点滅します。


電池交換を促すためのサインですが、点滅中であっても色切替ボタンを押せば通常モードに復帰できます。
※これらの結果はあくまで安定化電源を使った場合です。
実際の電池では1.0Vまで消耗すると電流値がほとんど取り出せなくなります。この表では2本直列した2.0Vぐらいまでの結果を参考にしてもらえれば良いと思います。

■分解■
※分解及び改造行為を行ったペンライトは安全性が保証できないためライブ会場に持ち込まないでください。



電池蓋を開けてネジを3つ取り外し、レンズ付近のツメを内側に押し込むことで本体を開くことができます。



低背化を徹底した基板が美しいですね。この写真だけ見せられたらペンライトの中身だと分かりません。



マイコンはTiのMSP430F2272、RFレシーバーはSILICON LABSのSi4313です。
Si4313を使った光り物には Xylobandsがあり、コールドプレイのコンサートなどで使われたことがあるそうです。



LEDの足を斜めに整然と並べたのは、基板の空きスペースを有効利用するためでしょうか。

DC-DCコンバータが実装されているはずの基板の裏側も見たいところですが、基板と電池ボックスの端子がハンダ付けされているため分解は見送りました。
フリフラが店頭販売するようになれば非可逆な分解もできるのですが、現状ではレアなペンライトなのでここまでにしておきます。

■まとめ■
■良い点
・無線制御に未来を感じられる
・昇圧回路で明るさが一定
・白色の発色が良い
・機能の割に価格が良心的
・日本製
・無線制御下以外では普通のペンライトとして使える

■賛否両論
・色を勝手に制御される

■悪い点
・全長が29cmのためレギュレーションに引っかかりやすい。
・大電光程度の明るさは欲しい(特に屋外で使う場合、現状だと筒の白色が勝る)
改良を重ねて発売されただけあって、明るさ以外では満足度の高いペンライトではないでしょうか。
特に無線制御下で使った場合、会場全体での演出を体感できるので尚さらです。
ペンライト好きなら1本押さえておきたいところですね。


さて、これまで何度も述べていますようにmontaは色合わせ至上主義者でして、「公式指定色」「曲のイメージ色」「出演者の基本色」を全て事前に調べてからライブに臨むことにしています。
アニサマのような大規模イベントであっても同様です。例えソロライブに行ったことがない演者であっても、周りのファン達に溶け込めるぐらい準備することを心がけています。
使いやすいペンライトを求めて当blogを巡回してくださっている皆さまも同じ意見だと思います。

ただ、残念なことに最近のイベントでは「目立ちたい、映像に残りたい」という理由だけで「曲のイメージ色」とも「出演者の基本色」ともかけ離れた色の高輝度ペンライトを天邪鬼的に使用する「ファン以外の人間」が多い印象です。(絶対数的には少ないのですが、そういった人間ほど前列に来るため強く印象に残る)
黄・白といった高輝度LEDと相性の良い色、比視感度の高い緑色、色相環で基本色の反対にある補色が「作為的に」使用されることがほとんどです。(※作為的というのは連結など明らかに下心があって改造されたものが多いことから)

「複数の出演者が登場するフェス系のイベントのため、いわゆる【押し以外】で適切な色のペンライトをたまたま持ち合わせていなかった」という理由は百歩譲って受け入れることもできますが、ソロライブや作品の単独イベントというファン以外の人間が本来いないはずの現場でイレギュラーな色を使用されるのは目を背けたいほど嫌な光景です。
(もちろん「初参加でケミカル1色しか持っていない」という状況ではなく、前述のように作為的に目立つ色を振る行為を指しています)
彼らの存在も「多様性」という言葉で認めることはできますが、私としては多様性よりも統率された動作の美しさを重視したいです。某GRACE IIのMCで「君たちの動きは北朝鮮よりも凄い」と言われていましたが、確かに目標としては近いものがあります。(残念ながら青がメインのはずの某現場でも緑とか黄色の連結がいるのですが)

このような事態を回避できるのであれば、将来「フリフラのみ使用可」というイベントが増えて結果として手持ちのキンブレ、サンダーが全て無駄になろうとも構わないと思っています。
それぐらいmontaは色にコダワリがあります。