2012 年 4 月 20 日

[レビュー]光の最終兵器 キングブレード・マックス


[最終更新:2012.11.20]


これが王の力――。

こんにちは、装備の手入れに余念がないmontaです。

さて、本日4月20日に株式会社ルイファン・ジャパン様より待望の高輝度ペンライト「キングブレード・マックス(KING BLADE MAX)」が発売となりました。
昨今の改造ペンライト規制における我々の切り札であり最後の希望です。


最初に述べておきますが、今回レビューをするにあたってルイファン・ジャパン様より「分解してしまう商品分のご負担を補わせて頂きます」というご好意をいただき、最終製品を送って頂きました。メーカー様から無償提供を受けるのはこれが初めての機会ですので内心かなり動揺しております。


こちらが頂いたキングブレードです。
なお、『コメントは是非とも辛口でお願いします』というお墨付きを頂いておりますので、記事に何らバイアスは掛かっていません。いつものようにメリット、デメリットはしっかりと述べます。

他の色については秋葉原のドン・キホーテにて購入してきました。


購入した色はオレンジ、緑、黄色、青、ピンク、白で各1980円でした。(定価は税込2100円)
なお、赤だけはLEDが異なることと、製造上の不良により来週に延期となっています。(赤色は発色を追求した結果、白色LEDではなく赤色LEDを使用)

それではまずはパッケージを見て行きましょう。


『光の最終兵器!!キングブレード・マックス』

・待望の3W-LED使用ペンライト
・脅威の輝き!明るさ約140ルーメン ・光量切替え機構により明るさ4段階 ・コンサート、ライブ、アウトドアで大活躍
・連続点灯約2.5~10時間!(使用状況により異なります。
なんとも頼もしい売り文句じゃないですか(´Д`;)
兵器ということは輸出制限があるかも知れませんね。



公式にエネループ対応を謳っています。実際のところ防水密閉型でないライトなら大抵Ni-MH充電池が使えますが、公式に対応してくださっていると安心できますね。



同梱物はライト本体と色濃度調整用フィルム(オレンジと紫にのみ同梱)
フィルムは1枚だとネオンスティックの新オレンジ並のやや薄い発色で、2枚重ねると濃いオレンジ色になります。


電池とストラップは本体に装着済みです。
電池もストラップも付属しないカラフルビームとは何だったのでしょうか?


続いて、本体の外観を見て行きましょう


わざとらしく並べましたが、キングブレードは閃ブレを安全面に考慮して製品化したペンライトです。
商品にはそのような記述はありませんが、どこを見ても閃ブレを研究したとしか思えない配慮だらけです。
閃ブレを意識したと思われる点を以下にまとめました。

■全長 閃ブレはSG-305、SG-325で作ると27cm近くに達してしまい、一部のライブにおけるレギュレーション(サイリウムは25cm以内に限る)に引っかかってしまいます。


キングブレードの全長はジャスト25cmとなっております。
27cmに達するカラフルビームとは何だったのでしょうか?


■重量 閃ブレはSG-305/325仕様だと約123gあるのでライブ翌日は筋肉痛という方も多いのではないでしょうか? 筋トレしているようなものですからねw
SG-309/329仕様だと約80gなので軽いですが、電池交換を頻繁にするので煩雑です。


キングブレードの重量は95.2gとなっております。(単四電池x3、ストラップ込み)
この重量であれば腕への負担は少ないですね。
参考までに大電光煌は92.5gですが、パワーの次元が違いますので単純な比較は無意味です。


■扱いやすいフィルム キングブレードもネオンスティックと同様、白色光源に対してフィルムで色をつけています。


ネオンスティックのフィルムは柔軟性がなく、ちょっと変な方向に力を加えるとスグ折り目が付いてしまうため現場でのフィルム交換は極力避けるというのが常識でした。
キングブレードのフィルムはビニールのように柔らかいため、多少ラフに扱っても折り目が付くことはありません。


■ネオンスティックとの互換性

そもそもフィルムどころか、キングブレードの筒はネオンスティックの筒と互換性があります。神仕様というやつですね。
ネオンスティックの筒がそのまま装着できることから、今までネオンスティックに投資した資金が無駄になりません。※筒の交換が「改造」の範疇に入ってしまうのかは未確認です。
ただし、ネオンスティックの筒→キングブレードは可能ですが、


キングブレードの筒→ネオンスティックだとフィルムが短いため隙間ができてしまいます。ネオンスティックの台座を流用した閃ブレでも同様です。ご注意ください。


■先端処理 閃ブレを作るにあたって先端処理は必須ですが、


キングブレードは先端処理済みです。素晴らしい配慮ですね。
しかも、


裏側は光を反射するようになっています。閃ブレでアルミテープを使う利点と同じですね。
市場には先端処理どころか、先端にLEDを一灯付けてしまうような現場を何もわかっていないペンライトが無数に存在しているので、キングブレードの配慮には頭が下がります。


■握りやすいグリップ 閃ブレ(GENTOS閃)はグリップがゴツゴツしているため、持ち方によっては手の皮が向けてしまうことがあります。(元々ライブで使うライトではないので仕方ないのですが)


キングブレードのグリップは有機的な丸みを帯びたプラスチック製グリップなので、皮が向けることは少なそうです。


■ストラップ標準添付

ペンライト全般にストラップは義務化すべきだと思っています。
このサイズのストラップは単品で探すと中々安く売っていないので、標準で付属していると助かります。


■明るさ調節 閃ブレはかなり明るいため、小規模会場では使わないことが暗黙のマナーとなっています。(500人規模の会場で連結されている方は何を考えているのか私にはわかりません)
また、「よく知らない曲なのにたまたま手持ちのライト(色)が閃ブレしかなかった」という場合に、曖昧なタイミングで振るのは気が引けるものです。


キングブレードは底面のスイッチを押すことで明るさを4段階に調節できるので、状況に応じた明るさで振ることが可能です。

どうですか?閃ブレユーザーなら「よくぞここまでやってくれた!」と思えるところばかりですよね。
しかし、賛否両論な点もいくつかあります。

■最大輝度以外でちらつき(フリッカー)がある

先ほど明るさ調節をメリットとして挙げましたが、「ちらつき」という欠点があります。
恐らくPWM制御で高速に点灯消灯を繰り返して明るさを調節しているため、最大輝度以外ではちらつき(フリッカー)が発生します。
ちらつきは肉眼ではほぼ分かりませんが、人によっては残像感を感じます。
個人的には眩しさよりもチラツキの方が気になるので、最大輝度で使った方がマシではないでしょうか。


■電池交換が少し面倒

キングブレードの電池蓋はネジ止め式です。
ネジと言っても大電光煌のような小さいプラスネジではなく、大きめなマイナスネジなので、10円などの硬貨があれば簡単に回すことができます。
振っている最中に電池蓋が取れない配慮と、開けやすさのバランスを取った仕様だと言えるので、一概にダメな点とは言えないですね。


■フィルムがキラキラ仕様しかない

ターンオンで言うところの「キラキラスティック」仕様のフィルムしかありません。
確かに見た目はキレイなのですが、真横で振られるとチカチカして鬱陶しいとmontaは感じてしまします。
早急に、ネオンスティックのような単色仕様もラインナップして欲しいところです。もしくは交換用フィルムを単体で販売していただけると幸いです。
追記:2012年8月4日からマットフィルムタイプが発売となりました。

■色ムラがある(上半分が暗い)

左から閃ブレ(SG-325)、キングブレード、大電光煌です。
煌の色ムラは論外として、キングブレードも上半分あたりから徐々に暗くなっていきます。(後述の照度測定でも数値として表れます)
フォーカスコントロールもないので改善は不可能です。
とは言っても、市販のペンライトで色ムラがないライトは存在していない(はず)なので、他製品と比べれば及第点には達しています(甘いですか?w)

■比較してみる■
さて、それでは他ライトとの比較をしてみます。
まずは閃ブレが苦手とする青色から比較


左から閃ブレ(SG-325)、カラフルビーム、キングブレード、大電光改、LIVE JOURNEYライト、LIVE CASTLEライトです。
ネオンスティックの青フィルムは青色LEDを使うことが前提のため、閃ブレでそのまま使うと白っぽくなってしまいます。
その点、キングブレードの青フィルムは白色LEDもキレイに発色するよう濃く調節されています。
実際、この中では一番キレイです。

続いて皆さん大好きなオレンジ色


左から閃ブレ(旧オレンジフィルム、新オレンジ+新イエロー、煌ヘッド)、キングブレード(フィルム1枚、2枚)です。
はい、写真じゃ全く違いがわかりませんねw
この中ではキングブレードのフィルム2枚(※初めから2枚付属しています)が一番濃いオレンジ色です。むしろ濃すぎてUOの明るいオレンジ色とはまた違う色合いです。
キングブレードのフィルム1枚はLEDの光が漏れやすいため白っぽいオレンジ色に見えます。

■照度を測定してみる■
いつものように写真を提示して「○○より明るく見えます」というアバウトな表現では正確性に欠けるため、今回から照度計を導入しました。


使用した照度計はLX-1010Bです。



比較するにあたり、このような測定環境を用意しました。
きらきら工房様と同様に照度計センサーから10cmの位置を測定します。
基本的には発光部の中央付近を測定しますが、色ムラがあるライトの場合、各部に分けて測定します。

※測定方法が確立していないため、これらの結果はあくまで目安として使用してください。 ※全光束(ルーメン:lm)と照度(ルクス:lx)は異なる単位です。
私も詳しい定義は学んでいませんが、ルーメンは空間的に照らす光の総量、照度(ルクス)は光を受けた面の明るさを指しています。
照度計は個人でも安価に購入できますが、ルーメンの測定機器は専門の研究機関でなければ買えないほど高価です。

まずは参考値としてみんな大好き大閃光オレンジの照度を計測しました。


折って振りまくると約4秒で最大照度1134lxに達します。
そこからは指数関数的に急激に明るさが落ちていき、10秒:837lx、20秒:461lx、30秒:299lx、40秒:214lx、50秒:163lx、60秒:129lxになります。

続いてキングブレード、閃ブレ、大電光を計測します。
※一部あやしい数値があるので目安までに使ってください。
  最大照度(lx) 他照度
キングブレード(明るさ1) 71 50(先端から3.75cm地点の直下)
キングブレード(明るさ2) 116 82(〃)
キングブレード(明るさ3) 158 112(〃)
キングブレード(明るさ4) 219 155(〃)
閃ブレ(SG-305旧オレンジフィルム) 217
閃ブレ(SG-325旧オレンジフィルム) 230
大電光煌 154
大電光改 ブルー 26 18(上半分)
大電光改 ピンク 32 18
大電光改 イエロー 40 13
大電光改 ホワイト 59 20
この結果から、「キングブレードの明るさ4は閃ブレ(SG-305)に匹敵する」と言えます。
また、大閃光オレンジの結果から、「キングブレードと閃ブレの明るさ4は大閃光オレンジ40秒後の明るさに匹敵する」とも言えます。
それにしても改めて計測すると、大閃光オレンジのコストパフォーマンスって悪いですよね……。

追記:『ターンオン「閃電(イナズマ) ネオンスティック」レビュー』でキンブレ、閃ブレのフィルムを交換した照度を測定しているので参考にしてください。

■まとめ■
■良い点
・閃ブレの数々の弱点を改善したところ(青色もキレイ)
・ターンオンの筒がそのまま使える
・明るさ(照度)も閃ブレに匹敵
・定価2100円という価格設定(GENTOS閃+ターンオンより安い)
・取扱い店舗が豊富(になる予定)

■微妙な点
・最大輝度以外でちらつきがある
・フィルムがキラキラ仕様しかない
 →2012年8月4日からマットフィルムタイプが発売されました
・上半分が少し色ムラ(他ライトに比べれば遙かにマシ)
・電池カバーのネジを締めすぎると壊れやすい
 →交換ネジを送ってもらえるそうです。
 詳しくは、『キングブレードのネジを改善品に交換』を見て下さい。
・フィルムが下にズレやすい


 詳しくは、『キングブレードのフィルムがズレる問題を対策する』を見て下さい。
現状で「買い」なのは間違いありません。
改造ペンライトが規制された今、市販品という大義名分があり、満足のいく発色のライトはキングブレードだけです。
ここまでユーザーのニーズを汲んで作られた製品を前にすると、誰でも嬉しくなってしまうものです。

長時間使用したレポートなどは例によって後から追記されていきます。