2012 年 9 月 29 日

[レビュー]キンブレの対抗馬 ターンオン サンダー


[最終更新:2012.10.03 AM00:50]



フルカラーペンライトの発売ラッシュが終わったと思ったら、老舗ターンオン社よりキンブレを意識しまくりな高輝度ペンライトシリーズ「サンダー」が発売されました。
こんにちは、ペンライト関連の更新とそれ以外の更新との落差が激しいmontaです。





早速オレンジ、レッド、グリーン、ブルーを購入しておきました。定価は3,140円です
来るシンフォギアライブにて実戦投入しようと思っています。ごらく部も同じ色ですが太さ的に使いにくそうです

ターンオンは今年4月にも「閃電(イナズマ) ネオンスティック」を発売しています。
イナズマは重い、熱い、高い、先端処理されていない、色ムラがあるなど残念なライトでして、キンブレに売上が負けていたのか発売からわずか5ヶ月で【生産完了】となってしまいました。
代わりに新発売されたのがこのサンダーシリーズです。
どれくらいキンブレを意識しているかは、Webページの記述からも伺えます。


●熱・湿気にも強い特殊発光カラーシート採用

●ライトの「チラつき」* がありません
*「チラつき」:1秒間に3回以上の点滅は「光過敏性発作を誘発する危険性がある」として、放送その他各業界団体から「その使用を控えるべき」とされています。
これはどう考えても、キンブレが弱点としている部分を突いているとしか思えませんね。
(キンブレはフィルムが丸まりやすい→対策方法)
完全に「キンブレVSターンオンサンダー」の構図が出来上がりました。

なお、サンダーシリーズの色にはレッド、ブルー、イエロー、ピーチ、ピンク、オレンジ、ホワイト、グリーン、パープル、バイオレットがあるのですが、


レッド、グリーン、ブルーは2種類存在しますのでご注意ください。
普通のサンダーは全て白色LEDを光源に採用していますが、


レッド、グリーン、ブルーには赤、緑、青単色LED版の「彩」シリーズがあるのです。
白色LEDにフィルタをかけて赤、緑、青を表現するとどうしても白っぽくなってしまうので、レッド、グリーン、ブルーを買うなら彩シリーズを選ぶことをオススメします。
(というか何故白色LED版も併売しているのか謎です……。色の濃さよりも単純な明るさでは白色LEDにメリットがありますが、今は発色の綺麗さでペンライトを選ぶ方が多いですよね)
なお、キンブレもレッドだけは赤色LEDを採用しています。11月1日に3W 青色LEDを採用した「SUPER BLUE」が発売される予定です。


彩シリーズを買う際には、パッケージだけでは判別が付かないので必ず裏面のバーコードを見て、


「彩ブルー」などの記載があることをご確認ください。
白色LEDを使っているサンダーのオレンジであっても何故かパッケージでは、


「カラーLED採用」と誇らしげに書いてあるのでご注意くださいねw まぁ、白が全ての色を含んでいるという考えをすればある意味カラーLEDと言えるのですが。

高輝度赤、緑、青LEDを採用したサンダー彩シリーズの登場により、これまで高輝度青、緑では唯一の選択肢だった、


UltraFire(Luxeon K2採用品)を改造したペンライトも出番がなくなります。


パッケージ裏面(サンダー、サンダー彩シリーズ共通)

■外観■

同梱物は単四電池x4本、ストラップです。


そうです、ついにターンオンもストラップを付属させるようになりました。
どのメーカーもストラップを標準にしてきたのはイイ流れですね。



寸法は全長は24.5cmでキンブレよりも短いです。
太さは最も太いところで39mmあります。持ち手になる部分は26mmです。



重さは116g。約95gのキンブレよりも電池1本分以上に重たいですね



レンズはサンダーとイナズマで異なります。
サンダーは平面のレンズが手前に付いています。
てっきりイナズマと共通だと思っていたのですが、色々と改良が加えられています。



サンダー彩のレンズは拡散レンズです。



電源のON.OFFと明るさ三段階の調節は首のリングを回すことで行います。
カチカチっとクリック感があります。



通気口は表裏両方にあります。窒息死寸前だったイナズマから改善されています。



電池ボックスへのアクセスは底面の丸っこい蓋を回して取ることで可能です。ドライバーやコイン等は必要ありません。
電池を引っ張るリボンも付いています。
この電池ボックスもイナズマから大きく改良された点でして、


イナズマは今にもモゲそうなやわい構造でしたが、サンダーは本体に固定されています。



ただし、電池のプラスマイナス表記が薄くて見えづらい かつ マイナス端子側にバネがない構造なので暗闇では4本の電池を正しく極性を合わせてセットすることが困難です。
電池の消耗が激しいペンライトなので、電池交換が不自由なのは困ります。


■先端処理■
高輝度ペンライトでは必須となる先端処理ですが、前作イナズマネオンスティックでは処理がなされていませんでした。
それがサンダーでは、


ウレタンのようなスポンジを先端に挟むことで、光漏れを防止しています。
スポンジ自体がうっすら発光していまいますが、眩しいぐらいに光が漏れることはなくなりました。


スポンジは一度取り出すと中に戻すのが難しいため、不器用な方はヘタに弄らないほうが良いです。

■持ち心地■
今まで他のペンライトでは持ち心地を取り上げませんでしたが、サンダーは重量級 かつ 形状にクセがあるため言及します。


サンダーの持ち手は短いため、通気口を塞がないように持つと必然的に上記のポジションになると思われます。
この状態だと小指が完全に遊んでしまうため、今一安定感がないですね。
(握りやすそうに見えるキンブレにも汗で滑りやすいという問題はあります)

■発色・色ムラ■
フィルムは


イナズマおよびネオンスティック2012版、サンダーで共通のようです。
つまり2011版よりは濃いですが、旧ネオンスティックのフィルムよりかはオレンジ色が薄いですね。

色ムラを見てみます。


左からキンブレマット、サンダー、イナズマです。
驚いたことに、色ムラがほぼ無いという奇跡のペンライトです。キンブレテン並に均一な色です。
あの平面のレンズがイイ仕事をされているようですね。

続いては青色を比較


左からキンブレ(明るさ4)、サンダー(明るさ1)、キンブレテンです。
この写真ではサンダーが白っぽく見えますが、それは光が強いため他のライトよりも相対的に白く写っているだけです。
実際は真っ青な色です。



そして明るさ3ではご覧のように他を寄せ付けない発光になります。

緑色を比較


上からサンダーの明るさ1~3となっています。

具体的には照度にはついては下記ページにまとめております。
明るさ2の時点でキンブレの4段階目に匹敵しています。
「コンサート用ペンライトの照度比較」



■消費電流■


新品のアルカリ電池で消費電流を測定しました。
発熱でVfが変化するため、あくまで参考値に留めてください。

LED色 mA
1 2 3
ホワイト
(サンダー共通)
100 260 700
彩レッド 90 210 340
彩グリーン 100 220 360
彩ブルー 100 220 370
あくまで電源投入直後の値なので、実際にはすぐに放熱が追いつかなくなって消費電流が下がり続けます(明るさも暗くなります)
とは言え、6Vで700mAということは単純に4.2Wですよね……。果たしてそこまで明るくする必要があったのかは疑問です。

■発熱■
室温29℃の環境で明るさ3にして30分後の温度を測りました。


通気口の最も熱い部分で67.5℃、持ち手の部分で42.4℃に達しました。
持ち手の部分はじんわり熱い程度なので持てないことはないのですが、通気口付近は非常に高温になるため体に押し付けるなどの行為は絶対にやめてください。(明るさ3の状態でずっと常用することはないと思いますが念のため)

■分解■
※注意:分解することによってメーカー保証が受けられなくなります。
※分解後の安全性は保証できかねます。
分解するにはまず、


LEDの横にある小さなネジを2本取り外します。



本体のスイッチから上が回転できるようになるので取り外します。

つづいて電源スイッチのリングを取り外します。


スイッチを明るさ1段階目にセットして、上へ引っ張ることで抜けます。



あとは隙間にマイナスドライバーを入れれば開きます。



輝度調節は単純で、スイッチにて抵抗を物理的に切り替えているだけでした。
キンブレのようにPWM制御するマイコンは載っていません。これならば原理的にチラつき(フリッカー)は発生しないわけですね。



こちらが白色LEDです。メーカーの特定については詳しくないので、他の方にお任せします。



こちらが赤色LEDになります。



ヒートシンクはキンブレよりも小さいですが、通気口が一箇所しかないキンブレと違ってサンダーは裏表両方にあります。
そのためなのか、


ヒートシンクの構造が反対型に抜けるようになっています。
(キンブレは中央に芯があって放射状に羽が伸びている)




ムラなく発光させるのに需要なレンズです。



電源スイッチの反対側にあるもう一つのサブ通気口に貼ってあったアルミ(?)テープです。
どれほど効果があるのかは分かりません。

■まとめ■
■良い点
・彩ブルー、彩グリーンは現時点で唯一の高輝度青&緑ペンライト
 (彩レッドはキンブレでも代用可能)
・色ムラがほぼない
・どの明るさでもチラつきがない
・先端処理も考慮されている
・全長25cm以内に収まっている
・標準でストラップあり

■悪い点
明るすぎる  明るさ2の段階でキンブレの4段階目に匹敵しており、明るさ3に至っては広い会場であっても周りに迷惑をかけるレベルです。
 くれぐれも明るさ3で常用することは止めてください。ここぞという時に使ってください。
・明るさ1以外は熱い
・キンブレ以上閃ブレ未満の重さ
・太く、持ち手が短いため持ち方にクセがある
・電池交換を間違えやすい
・定価3,140円は高い
これがキンブレに対抗するためにターンオンが出した答えだというのなら、明るさを上げ過ぎなのは否めません。
閃ブレ、キンブレを宣伝してきた私が言える立場ではありませんが、過剰な光り物はより厳しい規制を生むだけです。
最近のイベントでは、周りのことを考えずに高輝度の連結ペンライトを常時振っている人間や、閃ブレキンブレの筒を外して面白半分にサーチライトをしている人間が跡を絶ちません。
そういった迷惑行為にサンダーが悪用される可能性は当然あるわけです。

もちろんイナズマネオンスティックの欠点を改善したり、純度の高い発色にこだわった彩シリーズを投入したりなど評価すべき点はあります。
然るべき使い方をするのであればサンダーが良いペンライトなのは間違いありません。